結木礼のちょっと怖い話

結木礼(ゆうき・れい)ライター・編集者。怖い話を中心に、ゆかいな話、おもしろい話など、ゆるゆると書いていきます。お問い合わせは下記URLからお願いします。 https://www.yuki-rei.com/otoiawase

【閲覧注意】サシ

筆者が体験した気持ちの悪い話。
虫が苦手な人は、読まないでください。

小学生のころ、釣りが好きで、よく近所の川で竿を振っていた。
エサは釣具店で買ったミミズ。
丸い容器に、ミミズがぎっしり入って、たしか200円だった。

ミミズのエサはよく釣れたが、小学生の財力で毎回200円はキツい。
あるとき、ミミズを買いに釣具店にいくと、別のエサが目についた。

5、6センチ四方くらいの透明パックのなかに、小さな幼虫のようなものが、たくさん入っている。
お店の人に「これはなんですか?」と聞くと、「サシという釣りエサだよ」という

値段は2パックで100円。
ミミズより安いという理由だけで、その日はサシを買った。

2パックのうち、とりあえず1パックを開けて、釣り針に刺してみた。
米粒ほどの幼虫なので、ミミズよりは抵抗がない。

でも、釣果は全然だった。
ボウズ、つまり一匹も釣れずに家路につくハメになり、もう1パックは開ける機会もなかった。
あまったほうのパックは、道具箱に入れたままにしておいた。

何日かして、もう一度サシを試してみようと、川に出かけた。
釣り場につき、道具箱を開けると、ブブ…ブ……と、気味の悪い音がかすかに聞こえた。

透明パックのなかに、ギンバエがぎゅうぎゅう詰めになって、うごめいていた。

そのとき、サシが蛆虫だということを知った。
ギンバエの詰まったパックをどう処理したかは、ここでは書きたくない。